法 話
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大府市S・E氏提供 |
11月は「
全国各地の末寺でも10月から翌年3月にかけて報恩講が厳修されます。ただ、本山・本願寺で報恩講が勤められている時期は、末寺は厳修をご遠慮するのが不文律となっています。当山では、毎年12月4日~5日の日取りで報恩講をお勤めしております。今年も11月に入ってぼつぼつ準備に取りかかりました。
また、ご門徒のご家庭の「お内仏」で報恩講をお勤めすることも数百年にわたって伝承されてきております。各寺には、地域単位で講組の組織(同行)があり、その組ごとに日取りをして報恩講をお勤めする伝統があります。当山でも5組の同行組織があり、各組にはそれぞれ25~60戸のご門徒が在籍。各戸のご都合もあるので日取りの日に全部が勤められるわけではありませんが、多い組は2人で回ってもほぼ一日がかり。夕方には「宿」の家で全員が集まって勤行し説教・会食。
寺でお勤めする報恩講の法要次第(差定)には一定のパターンがありますが、寺ごとにそれぞれ伝統があり、全く同じというわけではありません。また、法要期間も長短いろいろ。本山は前述のように一七ヵ日が基本ですが、末寺では二~四日といったところではないでしょうか。中には一日のみの寺もあり、それぞれの寺の事情、地域の事情によってさまざま。
法要の差定も厳修日数によって変わってきます。しかし、“必須”の法要内容は厳修期間が短いからといってカットするわけには参りません。その最たるものが「如来大悲の恩徳は」の和讃。以下「身を粉にしても報ずべし 師主知識の恩徳も ほねをくだきても謝すべし」と続き、四行で一首が成り立っています。因みに、この和讃は一首だけ独立の讃歌「恩徳讃」として、各種研修会等の締めくくりとして唱和することが通例となっています。
ご満座(最後の)法要では、この「如来大悲の恩徳は」(三重)の前に「三朝浄土の大師等」(初重)「他力の信心うるひとを」(二重)の和讃二首を加えて合計三首を用いてお勤めする方式が“三首引き”。さらにその前に「弥陀大悲の誓願を」(初重の一)「聖道門のひとはみな」(初重の二)「釈迦の教法ましませど」(二重の一)の三首を加えて合計六首でお勤めする方式を“六首引き”と呼びます。なおこの場合、三首引きの時の「三朝浄土の大師等」は(二重の二)に、「他力の信心うるひとを」は(三重の一)に、そして「如来大悲の恩徳は」は(三重の二:結讃)となります。
因みに、当山で毎年厳修しています報恩講の差定を以下に記してみましょう。
●十二月四日 大逮夜 午後一時始め
正信偈 真四句目下
念仏讃 淘 五
和 讃 五十六億七千万(次第六首)
五遍反
回 向 我説彼尊功徳事
御 文 聖人一流
説 教
●十二月五日 晨 朝 午前九時始め
正信偈 真四句目下
念仏讃 淘 五
和 讃 弥陀成仏のこのかたは(次第六首)
五遍反
回 向 世尊我一心
御伝鈔
説 教
●十二月五日 結願日中 午後一時始め
伽 陀 稽首天人所恭敬
歎徳文
伽 陀 直入弥陀大会中
文類偈 草四句目下
念仏讃 淘 五
和 讃 三朝浄土の大師等(次第三首)
回 向 願以此功徳
御 文 御正忌
説 教
●十二月五日 お浚えのお勤め 午後説教終了後
正信偈 草四句目下
念仏讃 淘 三
和 讃 不了仏智のしるしには(次第三首)
回 向 願以此功徳
御 文 多屋内方
合掌
《2013.11.3 前住職・本田眞哉・記》