法 話

(238)「迎春」

 

 

 

不更悪趣(ふこうあくしゅ)




 2021年は(うし)年。詳しくは、干支(えと)の繰り合わせから(きのと)(うし)の年に当たります。もともと干支というのは十干(じっかん)十二支(じゅうにし)を組み合わせたもの。「十干」とは、(きのえ)(きのと)(ひのえ)(ひのと)(つちのえ)(つちのと)(かのえ)(かのと)(みずのえ)(みずのと)

「十二支」とは、()(うし)(とら)()(たつ)()(うま)(ひつじ)(さる)(とり)(いぬ)()。この十干と十二支を順番に1つずつ組み合わせたものが干支になるのです。例えば、(きのえ)()を組み合わせると、(きのえ)()。音読みすると「(こう)()」になります。高校野球で有名な「甲子園(こうしえん)」は1924(大正13)年「(きのえ)()」の年に造られたことから命名されたとのこと。干子の組み合わせを一覧表にすると以下のようになるかと。

  

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 迎えた新年2021年は乙丑の年で、干・支ともに二番目。親鸞聖人が開顕(かいけん)されたわが浄土真宗のドクトリンは弥陀(みだ)の四十八願。その第二願は「不更(ふこう)(あく)(しゅ)の願」。第一願「無三(むさん)(まく)(しゅ)の願」を受けての発願。弥陀の四十八願は、釈尊が説かれた教えを翻訳した経典の一つ「大無量寿経」に記されています。大無量寿経は、聖人が最も重用(ちょうよう)された経典。聖人のライフワーク『教行信證(きょうぎょうしんしょう)』教の巻の冒頭に、「それ、眞實の教を(あらわ)さば、すなわち『大無量寿経(だいむりょうじゅきょう)』これなり。」と記述されています。

  その大無量寿経上巻に四十八願文が記されています。

       説我得佛(せつがとくぶつ) (こく)()地獄(じごく)餓鬼(がき)畜生者(ちくしょうしゃ) 不取(ふしゅ)正覚(しょうがく)

(第一願:たとい我、仏を得んに、国に地獄・餓鬼・畜生あらば、正覚(しょうがく)を取らじ)

       

         説我得佛(せつがとくぶつ) 國中人天(こくちゅうにんでん) 壽終之後(じゅじゅ し ご) 復更三(ぶきょうさん)悪道者(まくどうしゃ) 不取(ふしゅ)正覚(しょうがく)

       (第二願:たとい我、仏を得んに、国の中の人天、寿(いのち)終わりて(のち)、また三悪道に(かえ)らば、正覚を取らじ)

 四十八(の誓)願を建立(こんりゅう)されたのは法蔵(ほうぞう)菩薩(ぼさつ)。〝菩薩〟は(いん)()。〝仏〟は果位(かい)。直言すれば、菩薩は仏のワンランク下,ファーム? 願を立て、その願が成就しなければ私は仏に成らない(正覚を取らじ)と誓われたのです。「我々の世界に、〝三悪道〟地獄(最悪で極苦の生存とその環境)・餓鬼(貪りの心による行為の報いとして受ける境遇)・畜生(畜養されて生育するもの)が無くなる事を願う。もしそれが成就しなければ仏に成らない。」との第一願を受けて、第二願「生きとし生けるもの、命終わりて後再び三悪道に更ることがあれば仏に成らない。」と誓われたのです。そして、結果的にはその願成就して法蔵菩薩は阿弥陀仏に成られたのです。

合掌

2021/01/03  前住職 本田眞哉 記

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