法 話

(27) 「白色白光」





















世界中を震撼させたイラク戦争も収束し、焦点はフセイン政権崩壊後のイラク統治の問題へと移りました。

 駐留中の米・英軍が治安維持に当たるとともに、アメリカは反フセイン・グループに呼びかけて暫定統治機構を立ち上げようとしています。本国から「復興人道支援局」とかいう機関もイラク入りして、アメリカ主導で暫定統治機構作りが進められています。

 最大会派と目されるシーア派のグループは、アメリカ主導に反発し最初の会議をボイコットしました。その後態度を軟化させ、仲間入りするようですが、反フセイン各派間にも宗派・民族等の差異による温度差があるようです。

 ましてや、アメリカ人の文化・価値観とイラク人のそれとの間には大きなギャップがありましょう。アメリカの国是「民主主義」を押しつけて一時的にアメリカの意に沿う政権ができたとしても、多様な民族・宗派のイラクでは長く続くか否かは疑問です。

 世界中には数多くの民族と国家が存在し、それぞれ歴史と文化を持っています。そして、それぞれがそれぞれの価値観を持ち、それぞれに輝いています。それを無視して、自国の文化を押しつけ自国のカラーに染めようとすれば必ず無理が生じましょう。「相手の立場を認め、思いやりの心を大切に」という民主主義を象徴するフレーズも何かむなしく聞こえます。

 このことは人と人との間、すなわち「人間」についても同じことがいえると思います。青色の人は青色の光を放ち、黄色の人は黄色の光を放って、それぞれに輝いています。

赤色の人に自分と同じ白色の光を放つよう求めたり、あるいは、白色の指導者が、赤色の人にも、青色の人にも、黄色の人にも、全て白色になるよう押しつけたりしたら、悲劇的な結果を招くことになりましょう。

それぞれがそれぞれに輝き、それぞれが差異を認めつつ、ともに生きることができる真の平和な世界を見つけたいものです。「バラバラでいっしょ ―差異をみとめる世界の発見―」合掌

                          【2003.5.10.住職・本田眞哉・記】                   

  to index