法 話
(99)「法蔵」
この経(大無量寿経)の大意は、 弥陀(みだ)、誓(ちか)いを超発(ちょうほつ)して、 広く法蔵(ほうぞう)を開きて、 凡小(ぼんしょう)を哀(あわ)れみて、 選びて功徳(くどく)の宝を施することをいたす。 |
大府市S・E氏提供 |
親鸞聖人『教行信鉦』教巻より |
「法蔵」
6月1日、帰宅してパソコンの前に座ると、ディスプレー画面にエラー・メッセージ。再起動途中の画面の中央に「Isass.exe - システムエラー」の青地に白抜き文字。その下に赤丸に×印。続いて「無効なパーラメータをサービスまたは関数に渡しました」のコメントが書かれていました。どう考えても意味不明の文章。
そしてそのダイアログの中の「OK」をクリックすると、画面全体が真っ黒になり、「no input」「power down」の文字が現れてすぐに消え、再起動が始まります。再び「OK」をクリックすると同じ状況が繰り返されます。3度目、4度目を試みても同じ状況で、永久回転の世界にはまり込んだ感じ。
強制終了をしてみたらどうかと試みましたが同じ状態。ACプラグを電源コンセントから抜いて、しばらくして電源を再投入してみましたがこれもダメ。しからば、セイフティー・モードで立ち上げたら、とファンクション・キーをたたいて試みましたが立ち上がりません。ただ、ハードディスクとメモリをセルフ・チェックしてみたところ異常なしの結果が出ましたので、問題はハードディスクでなくてOSにあるのではないかという見当だけはつきました。が、どう対処したらよいか分かりません。万策尽きて、あとは専門家に尋ねるほかなしということに…。
寝苦しい一夜が明けて6月2日、午前10時を待ちわびてパソコン・メーカーのカスタマー・センターに電話を入れました。過去の経験ではなかなか繋がりませでしたが、今回は幸いにも一発でコネクションがとれました。オペレーターにトラブルの経緯を説明して指示を待ちます。前日私が試みた対応策同様にファンクション・キーを使った方法を始め種々指示の通りパソコンを操作しましたが、事態は一向に改善の方向に向かいません。
セイフティー・モードもダメ、ブート・メニューを使った方法も効果なし。電話の向こうのSEの声も気のせいかトーンがだんだん落ちてくる感じ。こちらからの「リカバリーするしかないですかね?」との問いかけに、「そうですね…」の返答。そうなると問題はハードディスク内のデータの喪失。
1年前の故障の時はハードディスクそのものが不具合を起こしたので、修理する前に500ギガバイトに垂んとするデータの吸い出しをしなければいけないということで大変でした。東京の業者へパソコン本体を送って内蔵データを全部外付けハードディスクに収録して返送してもらいました。費用は2桁の請求が来ました。そして今度はパソコン本体をメーカーのカスタマー・センターへ送って修理を依頼。診断結果はハードディスクの損壊。3年間の保証期間満了まで1週間を残すのみでしたが辛うじてセーフ。おかげさまで修理代も東京往復の送料も無料でした。
こうした経験から、今回はハードではなくソフトの問題であろうと勝手に判断。意を決してリカバリーすることにしました。Cドライブだけのリカバリーならば、大量のデータの保存されているDドライブには影響はないはずだ。「よし、行こう! Go!」とenter キーをポ~ン。インディーケータが作業の進行状況を表示しています。「キャンセルするなら今だ!」という声が頭をよぎる。一方で、「いや続行!」の声も…。リカバリー終わってウインドウズを立ち上げると素直に立ち上がり、ほッ。Dドライブのデータをチェック。何の損傷もありません、ヤレヤレ。
しかし、Cドライブにインストールされていたアプリケーション・ソフトウエアが全部削除されてしまったので、これからインストールするのが大変。加えて、インターネットを始め各種の設定がすべて解消されていますので、これからセット・アップにかなりの時間を要することになろうかと…。単体のプリンター2台のセット・アップは簡単ですが、カラー・コピー、スキャナ、ファクス、プリンターの複合機のワイヤレスLAN設定はプロにお願いしなければなりません。そうそう、サーバーを経由して輪転印刷機へのLAN設定も…。
そうしたPCトラブルで、このHP法話も発信が遅れてしまいました。あしからずご容赦を…。コンピュータとそのネットワークは、まさに親鸞聖人のおっしゃる「法蔵」ではないでしょうか。現代の「法蔵」だと思います。因みに『真宗辞典』には、「法蔵」とは「数多の教法を含み蔵(おさ)めたものの意で、経典・聖教のことをいう」と記されています。現代社会に当てはめてみれば、それは「百科事典」であり「エンサイクロペディア」であり、「データベース」のネット・ワークでありましょう。そうした現代の「法蔵」がトラブルを起こしてしまって大混乱に陥ってしまった次第です。
合掌
《2009.6.5 住職・本田眞哉・記》