■研修紀行

 ──中国仏教史跡踏査の旅──
      
天台山・普陀山 雨中の巡拝行(その1)

 アジア文化交流センター2000年度夏の研修旅行は中国仏教史跡踏査の旅。
8月22日(火)出発、同27日(日)帰着の6日間の日程で行われました。目玉
は懸案の「天台山」と「普陀山」の往詣。8月22日午前8時、参加団員14名と
添乗員1名は、名古屋空港の国際線新ターミナルビル3階の特別室に集い簡単
な結団式。一同元気に出国手続きをすませ、機上へ。中国西北航空WH298便
は9時50分テイクオフ。一路上海へ。
  
 ●変わる上海 博物館も移転
 現地時間11時ジャストにランディング。空港の「上海」のサインは見覚え
のある文字。上海に新空港ができたとのニュースを聞いたことがありました
が、着いたのはどうも従来の空港のようです。税関をパスして、スーツケー
スを押しながら出口から見える光景は以前と同じようです。そう、「虹橋国
際空港」に間違いなし。

モノの本によれば、新空港は上海浦東地区に1999年9月にオープンした「上
海浦東国際空港」。フライトがどちらの空港に着くかは全く不規則とのこと
で、事前に確認が必要と書かれています。ただ、2000年中に、虹橋国際空港
は中国系航空会社のみの発着、日本・アメリカなどの外国系航空会社のフラ
イトはすべて浦東国際空港発着になる予定とか。あくまでも予定。

 空港ターミナルの外は炎天下、大変暑い。でも、出発時の日本が酷暑だっ
たためか、それほどでもありませんでした。レストランで昼食を済ませ、14
時39分発の列車で杭州へ向かう予定でしたが、出発時刻が16時58分に変更に
なったため、2時間余の時間をどう過ごすか、団員諸氏に諮ったところ、外
灘(ワイタン=バンド)と上海博物館の見学ということになりました。

 私こと、訪中は10回余になるかと思いますが、中国は訪れるたびに街の景
観が変貌しております。なかでも上海はその最たるもの。外灘の黄浦公園も
すっかり整備され、様変わり。1868年にイギリス人によって造られたこの公
園、租界時代には「犬と中国人は入るべからず」という看板が立っていたと
か。

   

       ▲浦東地区のテレビ塔とビル群

  整備されたテラスからは黄浦江の雄大な眺めが楽しめます。特に対岸の浦
東開発区に林立する高層ビル群の景観には圧倒されます。なかでも、ひときわ
高くそびえるのがアジア一高いテレビ等「東方明珠塔」。高さ468メートル。
一方、視線を180度転じて中山東一路を隔てた西側を見れば、西欧式の重厚な
石造建築物がズラリ。上海近代史を物語るこの建物群は以前と変わりありませ
んでした。テラスを降りたところにある新築間もない「茶店」で茶を喫し、
上海博物館へ向かいました。

 上海博物館は凄い建物になっていました。私が1993年に訪れた上海博物館と
は全く違うのです。当時の博物館は狭苦しい建物でしかも工事中でした。エア
ハンマーの音やシャベルの音がうるさく、仮設の囲いや足場の悪さが印象に残
っています。確か移転計画中で、転用後のための工事中とかいっていました。
場所も延安東路と河南南路に近いところだったと思います。それが市の中心
部、人民公園の近くに移転したのです。重厚な石造りに見える4階建て。円形
と方形を組み合わせたユニークな形。バームクーヘン風。中央に全階吹き抜け
があり、内装も超豪華。国の威信をかけて造ったという感じ。

 1階は中国古代青銅器と中国古代彫刻、2階は中国古代陶磁器、3階は中国歴代
書画、4階は中国少数民族工芸、古代玉器、歴代貨幣等の展示館になっていま
す。総床面積は38,000平方メートルで所蔵文物は12万点とか。じっくり見て回
ると2日はたっぷりかかるという。因みに入場料は1人20元(1元≒13.5円)。
日本語解説器のレンタル料は40元。エッ? そう、入場料の倍額。いずれにし
ても予定外の博物館見学ができて、ラッキー! 専用バスは上海駅へ。

 上海駅は工事中。ごった返す人混みのなか、あっちこっち行ったり来たり。
スルーガイドの徐さんも戸惑い気味。柵の切れ目の入り口をようやく見つけ
「軟座待合室」へ。大きなソファの並ぶ大広間。懐かしい雰囲気。そして、ほ
のかに漂うあの(厠?)匂い。10年ほど前と同じ。しかし、1〜2年後にはこ
の駅も超近代的な駅に生まれ変わっていることでしょう。

 
      ▲上海から杭州へ  列車内

 観光列車は、発車のベルも鳴らずアナウンスもなく、スーッと発車。時計を
見ると17時5分、定刻より7分落ち。結構結構。車内は清潔で乗り心地もよく、
快適。中国の鉄道も以前に比べて随分改善されているようです。上海から2時
間10分、列車は杭州駅に到着。新装成った杭州駅は素晴らしい建屋。広々とし
た駅前広場も整備され、超豪華なターミナルになっていました。

                 【To be continued. Written by S,HONDA】

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