研修紀行 Ⅸ

 ──
アジア文化交流センター08夏の研修 ──

 
ヨーロッパに“アジア”を訪ねる旅 Part Ⅲ

  
パリの中心地で日本の古民家と出会い

        ベルギー・オランダの文化遺産を訪ねて⑧   

  
    
 

●アーケードの元祖ガルリ・サンチュベール

雨間に記念の集合写真を撮ってグラン・プラスに別れを告げ、北東に続くガルリ・サンチュベールへ。ガルリ・サンチュベールは、1846年から1847年にかけて建造されたヨーロッパ最古、ガラス張りの屋根のある商店街で、高級で瀟洒な有名ショッピングアーケード。「女王」、「王」、「王子」の3つの通りがあり、ネオ・クラシック様式とネオ・イタリア様式からなっています。設計はJ.-P.クリュイズナール。

実にすっきりしたアーケードで、両側に展開する方形の窓枠も半円形の上窓も、ガラス張りのカマボコ屋根も、一直線に連なってその距離100m以上。日本のそれのように軒先が出っ張ったり、提灯がぶら下がったり、看板が張り出したりということは全くありません。ショーウインドーも大きく、中の飾り付けのデザインも素晴らしく綺麗。ブティックあり、家具屋あり、菓子屋あり、レストランあり、カフェあり、特産レースを売る店あり、酒屋あり、もちろん名物ワッフル屋さんも…、ありとあらゆる店舗が展開しています。

レストランやカフェは路上に張り出してテーブルを並べ、食べ物の香りや笑い声が通りへあふれ出ています。左右に目をやりながら歩を進めると、人だかりができて中から何やら笑い声。近づいてみるとピエロ姿の男性が面白おかしく、身振り手振り。赤い帽子と鼻の頭に付けた真っ赤なボールが印象的でした。巨大スケールのアーケード街での自由散策の時間も終わり夕食のレストランへ。


●ベルギーの公用語はフランス語とオランダ語

8月24日朝、ホテル・マリオットでお目覚め。体調は快調。きょう午前中はフリー・タイムということでゆっくり朝食。ヨーロッパ旅行の楽しみの一つはホテルでの朝食。まず、どこのホテルも朝食食堂の雰囲気がよろしい。それから、どこもバイキング形式ですが、料理チョイスのバリエーションの豊かなこと。特にパン、チーズ、ヨーグルトなどは種類が多く、ついピック・アップする量が多くなり大きな皿に山盛り。連泊の時などは、前日試食できなかったものにも挑戦したりして…。

きょうは、午後1時にブリュッセルを出発してブルージュに向かう予定。したがって午前中はブリュッセルで自由行動。グラン・サブロン広場で骨董市が開かれているとのご案内もありましたが、ホテル近くのスーパー・マーケットで雑土産を買って、それからもう一度グラン・プラスへ行ってじっくり写真を撮ることにしました。まずスーパー・マーケットではチョコレートを中心とした孫たちの土産。チョコレートは「ゴディヴァ」や「ノイハウス」でなく、大衆向きの「レオニダス」、だったかな?

ぶらぶら歩きをしながらグラン・プラスを目指します。ガルリ・サンチュベールとは別のルートを通ると、比較的低い建物の屋根越しに市庁舎の塔が見えたり隠れたり。時には建物と建物の間の小路に塔が下から上まですっぽりとはまり込んだりして、さすがグラン・プラスのシンボル、市庁舎の塔はその存在感を誇っているようでした。

自由行動中の昼食はパック料金に入っていないので各々ご自由にということで、私たちのグループは中国料理を食することに。添乗員の三和田君の手配でレストランに予約を入れていただきました。ガルリ・サンチュベールの女王アーケード(100m)と王のアーケード(100m)の切れ目に交差するBouchers通りのレストラン街にある中国料理店に到着。お女将さんが流ちょうな日本語でリクエストを求めました。メニューもあまり分からないので、みんなラーメンを注文。でかいどんぶり鉢にラーメンが山盛り。スープを飲み干すことはできませんでした。満腹、満腹、ごっつぁんでした。

午後1時半、専用バスはホテル前から出発。ブル-ジュまでは100㎞弱の道程、所要時間は約1時間。ガイド役はアニー女史から日本人男性吉岡氏にバトンタッチ。ドライバーは女性でエリスさん。吉岡氏は早速ベルギーについてのレクチャをしてくださいました。まずはベルギーの公用語。ベルギーの公用語はおおざっぱに分けると、オランダ語(フラマン語)圏が60%、フランス語圏が40%、ドイツ語圏が1%。因みに、ベルギーの人口は1000万人余、ブリュッセルはその約1割100万人。

首都ブリュッセルを中心にして南部がフランス語圏、北部がオランダ語圏。ブリュッセルではフランス語オランダ語とも公用語になっているとのこと。いわば特別区。じゃあその使い分けはどうなっているかといえば、一般的な表記は並列して書かれています。建物の外の標示は、旗とか看板で示すことになっているようです。そのシンボルは何かといえば、フランス語の地域のための組織・施設は赤色の鶏マーク、オランダ語の地域のための組織・施設は黒色のライオンマーク。

ちょうど進行方向左側の車窓のビルの看板には赤い鶏のマークが描かれ、ポールには黄色い下地に赤の鶏マークの付いた旗が掲げられていました。今はそのように定着しているようですが、かつては「言語戦争」などということもあったようです。第二次世界大戦後は、オランダ語を話すフランドル地域、フランス語を話すワロン地域、両地域を分ける「言語境界線」が公式に設定されとのこと。これから行くブルージュはオランダ語の地域、黒のライオンマーク。

バスはフランドル地方の高速道路を順調に走り続けています。この地域は緑豊かな平原で、農家が点在し牛や馬が遊ぶのどかな田園風景が車窓に展開しています。作物はトウモロコシや麦、ジャガイモなど。冬が近くなると砂糖大根・ビートの収穫が始まるとのこと。ベルギーで使われる砂糖は、サトウキビでなく、ほとんど砂糖大根からとったものとか。

 《次号へ続く/2009.2.2 本田眞哉・記》


          to アジア文化交流センターtop