■研修紀行 U

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アジア文化交流センター01夏の研修──

  ホーチミンシティーとカンボジア
     アンコール遺跡踏査研修紀行(2)



 4年前のリベンジーinベトナム

 といいますのは、アジア文化交流センターが4年前にホーチミンシテ
ィーを訪れたときは散々な目にあったからです。それは1997年8月のこ
と。「チャンパー遺跡とベトナム文化を訪ねる旅」と銘打ったアジア文
化交流センターの夏の研修でした。やはりキャセイ航空で香港経由ホー
チミン市入りをめざしていました。予定より早く名古屋空港を発ったCX
531便は、台北までは順調に飛行。

 ところが、予定時刻をすぎても一向に台北空港を飛び立たない。機中
トランジットでいらいらするなか、1時間経っても2時間経っても、3時
間が過ぎても出発しない。結局4時間半遅れで離陸し、香港の啓徳空港
に着いたのは午後6時10分。もちろんベトナムへの乗り継ぎ便の出発時
刻3時45分には間に合わず、予定外の香港泊まりとなりました。

 翌日の現地英字紙を見て、私たちの搭乗機が4時間半遅れた理由が分
かりました。前日の正午から4時までの間に160mmの雨が降ったと書か
れていました。時間雨量40mmの雨が4時間降り続いたことになります。
オレンジ色の泥水で埋まった香港の繁華街の写真が2〜3葉。中にはキ
ャビンだけ水面上に頭を出したトラックの姿も。同紙の写真が豪雨の
ものすごさを物語っていました。犯人は台風「Zita」。日本流に呼べ
ば台風15号。

 そんなわけで、予定外の香港逗留と相成り、中国返還直後の香港見て
歩きのおまけまで付いたのですが、1日のロスは取り返しようがありま
せんでした。やっとのことで確保できた午後7時発のホーチミンシティ
ー行きのCX765便でベトナム入りを果たすことができました。しかしな
がら、アポイントメントがとれていたホーチミンシティーの永厳寺と印
光寺の訪問は、文字通り台風「Zita」の雨に流されてしまって、まこと
に残念。

 そこで今回は、その失われたものを取り戻そうとというのが、2001年
度夏の研修の目的の一つなのです。いわばリターン・マッチといいます
か、いま流行りの言葉でいえばリベンジーの企画とでもいいましょうか。

 タン・ソン・ニャット空港は市中心部からさほど遠くなく、バスで25
〜26分。4年前は夜の10時に到着したので、空港の風景が印象が残ってい
ませんが、今回改めて眺めてみると何となくもの淋しい佇まいでした。
ドイ・モイも足踏みなのか、大看板のスポンサーもなく、無地のうらぶ
れた姿を晒していました。


サイゴン川畔のすばらしいホテル

 ところがです、ホテルについてビックリ。市の中心部サイゴン川のほ
とりに建つ、その名もルネッサンス・リバーサイド・ホテルは、22階建
てのすばらしいホテル。新築でピカピカ。市街地に建っているため、1
階のメイン・ロビーはあまり広くありませんが、5階に“Patio”のよう
なサブ・ロビーがあり、最上階まで吹き抜け。その吹き抜けを囲むよう
に、客室がロの字形に積み上げられたといった構造。

 
     
ルネッサンス・リバーサイド・ホテル

 部屋に入ってみると、これまた窓からの眺望がすばらしい。真下にサ
イゴン川があり、前後不明の箱形のフェリー(“渡し船”といったほう
がよいかも)が行き来していました。桟橋に着くと、バイク、自転車、
歩行者の集団が吐き出されるといった感じで、街に散っていくのが見え
ました。

 川の向こう側は、樹海の中に古い建物が点在し、緑の原が遠くかすん
で未開発のようでした。あとで分かったことですが、対岸へ渡る橋はほ
とんどないこの地区は、市街地とのギャップの大きいトゥ・ティエム地
区というのだそうです。川岸に並ぶ外国企業の看板の向こう側には小さ
な家が密集していて、川には手漕ぎの小舟が浮かびアヒルが遊ぶ、英語
もほとんど通じない牧歌的な別世界だそうです。

 暮れなずむ窓外の景色に見とれていると電話。「ルルルルル ルルル
ルル …… 」。Khanhさんからだ。1階ロビーで待っているとのこと。
早速エレベーターで1階ロビーへ。Khanhさんは、佛教大学の高橋伸一教
授から紹介いただいた大学生。高橋先生からEメールで彼女の写真を送
っていただいていたので、初対面でもすぐ分かりました。すらっとした
細身にアオザイをまとった美人。明日ベトナム仏教会を訪問するときの
通訳をお願いすることになっていたので、早速スケジュールなどの打ち
合わせ。明日午後、最初に訪問する印光寺で落ち合うこととしました。
彼女はバイクで印光寺へ行くとのこと。さーすが、ベトナム。

  
          ▲
Khanhさん

 さて、夕食は街のレストランということで、バスに乗り込もうとした
ら猛烈な雨。凄い! これがスコールというやつだ。10分も走ったでしょ
うか、すぐにレストラン到着。軒先ギリギリにバスをつけてまらって、
ガイドや助手が傘をさしかけてくれるのですが、ほんの2〜3m走っただ
けで濡れてしまうほどの雨。

 レストランは大変雰囲気がよろしい。有名なレストランらしい。聞け
ば、ここは「ベトナム・ハウス」というベトナム料理の最高級レストラ
ン。ガイドブックによれば、最高級とはいえ1人1,000円ぐらいで十分楽
しめるとか。食べる前にこんなことをばらしてしまって…。品が落ちま
すね、失礼!。

 さて味はといえば、外国人向けの配慮があるようで、日本人にとって
もグーッ。彩りもよろしい。そのうちに民俗楽器による演奏が始まりま
した。一絃琴やミニ十三?絃で妙なるメロディーを奏でてくれました。
異国情緒豊かな民族音楽の数々。日本の音楽も演奏してくれました。た
だ、この日本人へのサービスのための?日本音楽、何か弁当持ちでベト
ナムへ来ているようで……。でも、おいしかった。      合掌
            
      【To be continued. Written by S,HONDA】


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