研修紀行 ⅩⅠ

     ──
アジア文化交流センター2010夏の研修 ──

 
 ヨーロッパに“アジア”を訪ねる旅 Part Ⅴ
  

   修交150周年を迎えるポルトガルで

「天正遣欧少年使節団」縁の地を訪ねて⑩

   
 
  

●コインブラで入院中の団員も恢復
  

昼食をすませてバスはリスボンに向けて出発。当初の計画では特急列車でポルトからリスボンへ行くことになっていました。ところが団員数の関係か、添乗員の三和田君からバスを利用した方がよろしいのではないかという提案がありました。駅でのバゲージの運搬や積みおろしのことなどを考えると、所要時間は長くなっても、バスの方がむしろ煩雑さが無いのではないかということで、日本出発直前鉄道からバスに変更されました。
  

そうそう、コインブラの病院に入院中の団員の情報が今朝入っていました。それに依りますと、昨日入院後手当を受け、ほどなく意識を回復。うまくいけばきょうの午後退院できるかも、という状況でした。その後連絡を取った結果、退院の手続きも終わったということで、リスボンへ行く途中で我々のバスでピック・アップすることになりました。このことも列車利用ではややこしいことになるでしょうが、バスに変更になったことが結果的に幸いした形となりました。
  

ポルトを出てから2時間ほどでバスはコインブラの病院前に到着。門衛室の正面にはHOSPITAIS DA UNIVERSIDADE DE COINBRA の看板。もちろんこれはポルトガル語。この意味するところは「コインブラ大学病院」ではなかろうかと推測。ポルトガル語はラテン系、英語はゲルマン系ですが、ゲルマン系の英語感覚でも何とか意味は掴めました。念のためネット上で検索してみましたら以下のような英語の説明が引き出せました。The Hospitais da Universidade de Coimbra (H.U.C.), in Coinbra, Portugal is a university hospital  belonging to the Faculty of Medicine of the University of Coinbra.私の推測の正しいことが証明されました。
  

入院していた団員は拍手で迎えられバスの中へ。開口一番「何が何だか、さっぱり分からん」と。レストランから救急車で病院へ搬送されたことは全く覚えていない様子。したがって、どうして入院しているのか、自分自身納得できなかったとのこと。痛いところもなく、苦しいこともないのにどうして?という心境だったそうです。後で聞いたところによると、日本のかかりつけの医者の薬の処方の間違いか、服用指示の間違いがあったようで、低血糖?になったのかも…。いずれにしても軽症でよかった。
  

バスは高速道路に入り、一路リスボンを目指します。ポルトガルの高速道路は、補修の行き届いていない部分もありますが、おおむね順調に走れます。気候も日本と大差ないようですので、窓外の樹木の景観はよく似た感じ。走っている車は、ヨーロッパ車が圧倒的に多く、日本車のシェアは非常に少ないようです。混雑度は、東名高速道路などと比べれば低い感じですが、さすが首都リスボン近郊まで来るとひどい渋滞。片側5車線あるというのに…。
 
 
 
 

夕食はファド・レストランで賑やかに
 

リスボンのお宿は、旅程の最初に2泊したシェラトン。勝手知ったる?高級ホテル。トラブったバス・ルームの水と湯とシャワーのコントロ-ル、思い出してうまく行くかな? それはそれとして、夕食は街のレストラン。生演奏付きで、8時半乃至9時からということでゆっくりホテルを出発。レストランの外壁には「FADO」「TIMPANAS」の装飾文字。FADO(ファド)は、ポルトガルに生まれた民族歌謡。TIMPANAS(ティンパナス)は店名。したがって、民族歌謡レストラン「ティンパナス」で夕食を戴くことになったのです。
 
 ファドをウェブ・サイトで検索したところ、「Wikipedia」には概略次のように記されていました。「ファドとは運命、または宿命を意味し、このような意味の言葉で自分たちの民族歌謡を表すのは珍しい。ファドは1820年代に生まれ、19世紀中ごろにリスボンのマリア・セヴェーラの歌によって現在の地位を得た。イタリアにカンツォーネ、フランスにシャンソン、アルゼンチンにタンゴ、ブラジルにサンバがあるように、ポルトガルにはファドがある。主に「Casa de Fado」と呼ばれる(または「Casa do Fado」)レストランなどで歌われる大衆歌謡で、主にポルトガルギター(ギターラ)と、現地ではヴィオラと呼ばれるクラシック・ギター(スチール弦使用)、時には低音ギター(ヴィオラ・バイショ)が加わったかたちで伴奏される。」
 

一方、「TIMPANAS」の検索でも5~6のウェブ・サイトにヒットしました。ティンパナスの公式サイトに依りますと、TIMPANASは50年近い歴史を持つ「TYPICAL RESTAURANT」(代表的な)なファド・レストランのようです。そして、21時~22時にファドのショーがあるとのこと。ショーは、楽器の演奏、ヴォーカル、ダンス等。舞台(演奏スペース)が狭いので大がかりなショウーはできないようです。
 

私たちのパーティーがレストランに入ったのが8時半少し前でしたか、それでも一番乗り。しばらくして、少々アルコールが体内に回ったころ続々と団体客が到着。ウェブ・サイトに書かれていたとおり、時計の針が9時を回ったころで演奏が始まりました。ウェブ・サイトに「女性歌手は黒いドレスに黒いショールで、男性歌手は片手をポケットに入れて歌う」とありましたが、確かに女性歌手は黒いドレスに黒いショール姿でした。しかし、男性歌手は「片手をポケットに入れて」歌う姿は見受けられませんでした。ポルトガルギターとクラシック・ギターの演奏者の掛ける椅子の背もたれに手を置いていた関係だったでしょうか。素晴らしい演奏と歌声を聞きながら、食事をしながら、お酒も飲まなくっちゃ…。飲むほどに酔うほどにいい気分、リスボンの夜は更けていきました。
 



《次号へ続く/2011.1.2 本田眞哉・記》


to アジア文化交流センターtop