■研修紀行 X

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アジア文化交流センター04夏の研修──

 中国・高原都市

  麗江・大理・昆明の少数民族との出会い @


 アポリジニの郷から雲南へ 

 毎年恒例の「アジア文化交流センター夏の研修」、本年は中国の雲南省を訪れることになりました。実は、年初来オーストラリアの先住民族アポリジニの郷に赴いて文化交流をする企画を検討してまいりました。というのは、昨年1214日、アジア文化交流センター主催のもと、東別院会館でアポリジニのパフォーマーの演奏会を開催したご縁があったからです。

 アポリジニ・ヨルンク族の伝統音楽とインドネシア・バリ島のガムラン・ジェゴッグのジョイント・コンサート「南半球の饗演」は大盛況でした。アポリジニのパフォーマーは、66歳のベテラン・リチャード氏とパフォーマンスの指揮をとるピーター氏51歳。そして、新進気鋭34歳のトム氏の合計3名の演奏メンバー。

 一方、ガムラン・ジェゴッグは、バリから駆けつけたスウェントラ氏率いる名音大のガムラングループのスカル・サクラが熱演。さらにスルヤ・ムトウのバリ舞踊が加わり、演奏会は最高潮。舞台上ではアポリジニのパフォーマンス、フロアーではガムラン・ジェゴッグの轟きと華やかな踊り。まさに南半球の共演・競演・饗演。超満員の観客は、ユニークな異文化交流に酔いしれ、演奏会は大成功。

 こうしたご縁を生かしてアポリジニ・ヨルンク族の郷を訪れ、より交流を深めようと夏の研修の目的地に選んだわけです。年明け後、演奏団に同行来日した現地アーネムランド観光協会のスティーヴ氏や、プロモーターの京都の浅田氏と連絡を取りつつ企画を進めました。ところが、なかなかコミュニケーションがとれない。日通航空の三和田君が現地エージェントの力も借りて悪戦苦闘。

 そうしたなか、われわれが訪れる予定の8月下旬に、該地で先住民族に関する研究会か何かが計画されているとの情報が入ってきました。そのためかホテルが確保できないという。それまでにセスナ機チャーターのコストの問題もありましたが、ホテル満杯の情報でこの企画はとどめを刺された感じ。さすがのタフ・マン三和田君もとうとう音を上げ、528日私のパソコンにgive up E-mailが入りました。ついにアポリジニの郷訪問は断念せざるを得なくなりました。

 早速常任幹事会を開いて対応策を検討。年一回の折角の研修旅行を取りやめるのはさみしい、どこか代替え訪問先を、というご意見が大勢。そうそう、昨年もサーズ騒ぎで海外をやめて国内研修に切り替えましたっけ。「北九州の陶磁文化と古代史縁の地を訪ねる旅」を実施しました。唐津、有田の窯を訪ね、吉野ヶ里遺跡を見学。湯布院温泉で骨休めしたあと、臼杵の石仏へ足を運び、国東半島の寺々を巡拝しました。それはそれなりに成果がありました。

 歴史は繰り返すとか、今年も代替え目的地を探さなくちゃ、ということでいろいろな候補地が提案されました。計画立案の時間的な余裕がないため、比較的近いところが望ましいということに。となると、やはり中国かな、ということで委員一同意見一致。さらに、今まで訪れていないところ、雲南省に絞り込みました。

 かくして成案を見たのが、「麗江・大理・昆明6日間の旅」。サブタイトルは、「雲南・高原都市の大自然の下、少数民族との心ときめく出会い」。

 EDカードあれこれ

2004825日水曜日午前11時過ぎ、名古屋空港国際線ターミナル・ビル4階の特別室。アジア文化交流センター夏の研修旅行の結団式。今回の参加団員は29名、添乗員を加えて総勢30名。団長の私からごあいさつ。続いて、日通航空の三和田孝添乗員から出国・入国手続きに関するインフォーメイション。

 中国の出入国手続きはよく変わるようです。以前は団体の場合、氏名、生年月日、パスポート番号等を記入した一覧名簿を提出して、その名簿順に一列に並んで入国審査を受ける方式でした。今回は世界標準?方式になった模様。つまり、一人ひとりがEDカードとパスポートで審査を受けるということで、順番はランダムでよいようです。

 添乗員の説明で、まず入国カードのsignature欄に署名。ついでに、帰りに使う出国カードにも署名。ハガキ大のカードの上端に黄色い帯が付いているのが入国カード。青い帯があるのが出国カード。黄色い帯の部分には「Entry card」と印刷されています。そして標題は「入境登記※」。この「※」は日本の活字にはない文字なので、ややこしい説明になって恐縮ですが以下のとおり。

 「上」という字と「下」という字を積み重ねた字。ただし、「上」の第三画と「下」の第一画は一本で共用。中国読みでは「カー」とか「カ」と発音するようです。したがって※はcardを音写した「カー」ということで、標題は「入境登記カード」。クレジットカードのことを中国語では「信用※」ということから見ても間違いないようです。因みに、「カラオケ」は日本発世界に広がった文化?の一つですが、中国では「※拉OK」と表記。(※=カ=ka、拉=ラ、OK=オケ)

 一方、青い帯には「Departure card」、標題は「出境登記※」と印刷されています。いわゆる出国カードといわれるもの。英語、中国語ともよく分かる表記です。ところが、ン?なんかおかしい。一般的に「EDカード」といえば、Embarkation(出国)Disembarkation(入国)の頭文字をとって名付けたもの。「出入国カード」のこと。中国の「EDカード」は、Entry(入国)Departure(出国)のイニシャルをとって名付けるとするならば、「入出国カード」になりはしないか。とすると、全く反対の意味になってしまう…。そんなことをゴチャゴチャ考えていると、「3階の出発ロビーへ行きま〜す」と添乗員の声。《次号へ続く/2004.9.2本田眞哉・記》



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