■研修紀行 X

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アジア文化交流センター04夏の研修──

 中国・高原都市

  麗江・大理・昆明の少数民族との出会い H
 

大理のランドマーク崇聖寺の三塔

相変わらずの曇り空の下、バスは喜州鎮を後に大理観光のメイン崇聖寺へ向かいます。崇聖寺は有名な三塔があることから「三塔寺」とも。途中バスは美田地帯を走り抜けます。道路は立派に整備され、右手側に蒼山山塊左手側に?海を臨みつつ快適な道行き。灌漑設備もかなり整備されている様子。右手山側より湧き出る水をU字溝で左手?海側水田に導水しようというもの。高さ3〜4mの高架式導水路が各所でバス道路と立体交差していました。

崇聖寺到着は午後4時過ぎ。時々薄日はさすものの雲は厚い、三塔の眺めや如何に。整備された駐車場から入場門へ。門は鉄筋コンクリート造りで、柱は丹塗り。古刹にはちょっと違和感。ありゃりゃ、入場券モギリも自動改札機…。進んでる〜ぅ!?

入場門を通り抜け視野が開けると正面に大塔一本。石畳を踏みしめ石段を数段上りまた石畳、そしてまた石段を登り…と歩を進めるうちに、両脇の小塔が見えてきました。三塔そろってフレームに収まるところで全員そろって記念撮影。「ニコニコ、四コ!」。

このころから雲の動きが目立ってきて雨が心配されましたが、かえって写真撮影には効果的。雲の変化も計算に入れて三塔そろった“絵はがき写真”撮影のシャッターを何回も押しました。さて、出来上がりは?

大理のランドマークになっているこの三塔、大塔を中心に左右に二つの小塔を配する様式。大塔は千尋塔と呼ばれ、高さは69m。16層の方形密檐(みつえん)式のレンガ製仏塔で、唐の開成元(836)年に建立されたとのこと。漆喰の白壁が美しく、各層の真ん中には仏龕(ぶつがん)がしつらえられています。当初はここに仏像が安置されていたとも。

高さ69m、大塔建塔の謎

どこかで見たことのある形の塔だと思ったら、そうそう西安の郊外にある香積寺(こうしゃくじ)の塔にそっくりだ。20年前に訪れた浄土宗発祥の地香積寺の善導大師崇霊塔を思い出しました。善導塔は高さ33mで12層、崇聖寺の大塔より規模は小さいが形はよく似ています。建立時期は善導塔の方が130年ほど古いようです。

今から1,100余年前、高さ69mの大塔をどのようにして造ったのでしょう、クレーンも重機もない時代に。この謎を解く鍵は、エジプトのピラミッド同様「土」。一層造るごとに建物の周りを砂で埋め、40年かけて16層が完成した時、周りの砂を取り除いたという。大塔の南北に建つ二つの小塔は、高さが42m、八角10層、密檐式のレンガ製仏塔。大塔より200年ほど後に建てられたそうです。

創建当時は立派な七堂伽藍があったといわれ、境内地は実に広大。大塔前の広場から右に折れて石段を上がると小堂があり、鉦の音が響き読経の声が聞こえてきました。中国では道教寺院も数多くありますが、ここはれっきとした仏教寺院。本尊は観音菩薩でした。

再び石段を上り左に折れると大塔の塔基と同じ地平に立つことができ、ほどなく大塔の真後ろに到達。大塔の奥には一直線に延びる石畳があり、突き当たりに鐘楼堂、さらにその先に観音堂がありました。入場門から最奥の観音堂までは優に1qを超える距離。鐘楼堂は鉄筋コンクリート造で最近再建されたもののよう。釣り鐘は3回に釣り下げられていましたが日本の梵鐘とはひと味違うタイプ。上部の「乳」や下部の「駒の爪」もなく、全体的にのっぺらぼうの感じ。

崇聖寺と別れを告げて、しばらく走って「三塔倒影公園」に到着。文字通り崇聖寺の三塔が池に映って逆さまに見えるところ。公園に踏み入れ池の端に立つと、なるほど鼎立する三塔がちょうど50oレンズのファインダーに収まる大きさでくっきり見えます。そして三塔が水面に映って倒立。ただ、水面にさざ波が立っているためややぼけて美しさ半減。折角の景色、柳の小枝を近景にあしらってシャッターを押すこと2度3度。

《次号へ続く/2005.5.2記》










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