●名刹華亭寺を訪問・交流
旅程最後の訪問は同じ西山森林公園内にある「華亭寺」。日本を出発する前に中国の代理店を通じて訪問・交流を申し込んでおいたのですが、到着が午後6時近くになってしまったため、昏時勤行の時刻と重なり交流の会を持つことができませんでした。
許しを得て、われわれ団員一同大雄宝殿でお勤めをさせていただきました。正信偈同朋唱和の声が宝殿内に響き渡り、荘厳な雰囲気。大雄宝殿の本尊は釈迦如来。そして右脇士が阿弥陀如来、左脇士は薬師如来の三尊仏。いずれも座像。
お勤めを終えて大雄宝殿を去ろうとすると、賑やかな鳴り物の音と読経の声が聞こえてきました。山内の衆僧による勤行が始まったのです。勤行は大雄宝殿でなく、隣接する「経堂」で行われる模様。声のする方へ足を向けると、ちょうど回廊から経堂へ経文か梵唄か称えながら僧列が入堂するところでした。
男性の高僧は黄衣に真紅の袈裟、尼僧は墨染めの衣で長髪。長い線香を捧持し、流れるようなメロディーで声明を称えながらの行道は、鳴り物の響きとも調和して何となく心を癒される雰囲気でした。日本の仏教、特にわが宗門では忘れられたものを感じ取ったのは私ひとりでしたでしょうか。残年ながら堂内には入れなかったので、声明の響きを惜しみつつ別棟の控えの間に戻ることにしました。
別棟では、折しも1995年の火災で焼失した大雄宝殿再建のための募財キャンペーンで有名画家周運賢氏の作品展示即売の催しが開かれていました。わが団員の中からも数名の方がその趣旨に賛同し作品を求められました。
一方、アジア文化交流センターからは、訪問に当たって用意してきた「お布施」を執事に呈上。勤行中とてお会いできなかった住持によろしくお伝えいただくようお願いして華亭寺を辞することにしました。最後に大雄宝殿を背景に全員の記念撮影。ただ、時刻は7時光量不足が心配。山門に向かう途次、まだ勤行の音声(おんじょう)が遠く聞こえていました。
かくして2004年アジア文化交流センターの夏の研修は、数々の収穫を得てここに大団円を迎えることができました。団員各位のご協力にお礼申し上げるとともに、日通航空の三和田君のお骨折りに深甚の謝意を表する次第です。合掌《完/2005.4.2記》