■研修紀行 T

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中国仏教史跡踏査の旅──
      
天台山・普陀山 雨中の巡拝行(完)

 ACEC中国仏教四大聖山巡拝の悲願成就

 普陀山は中国の仏教四大聖山の一つ。他の聖山はといえば、五台山、
峨眉山、九華山の三山。アジア文化交流センターでは、この四大聖山全
部に往詣することをめざしていました。そして、今はなき宇治谷祐顕前
会長の悲願でもありました。1986年、まず文殊菩薩の聖地五台山の寺々
を巡拝しました。五台山の地は開放直後で、ゲストハウスもできたて、
というより未完成部分もあり、工事中のところも。地蔵菩薩の九華山を
訪れたのは1993年のこと。寺々では、文化大革命の傷跡≠フ修復工事
が急ピッチで進められていました。普賢菩薩の聖地峨眉山にお参りした
のは1990年でした。風変わりなお駕籠≠ニブロッケン現象が印象的で
した。

 そして残ったのは観音菩薩の聖山・普陀山。前会長の悲願は今まさに
成就しようとしています。私自信もすでに三大聖地はお参りしておりま
すので、2000年8月25日今ここに四大聖山の巡拝が円成できるのです。
アジア文化交流センターの中国仏教四大聖山往詣の計画も14年間かけて
ようやく達成されようとしています。

  
             ▲普陀山大酒店

 さて、紫竹林参拝を終えた団員一同はホテル「普陀山大酒店」へ帰着。
ホテルは島の中心地に立地する素晴らしいホテル。舟山群島初の四つ星
ホテル。オープン間もない清潔で豪華なホテル。こんな僻地(失礼)で
四つ星ホテルに泊まれるとは思いもよらぬことでした。外観は仏国の景
勝地にマッチしたデザイン、そして赤色を基調としたロビーの雰囲気も
豪華で暖か。もちろん、客室内部も水回りもいうことなし。

 ガイドブックによれば、島内では外貨の両替はできないとなっていま
したが、フロントのキャッシャーでは夜遅くても円を元に替えてくれま
した。また、売店も狭いながらも興味津々でした。地場特産のユニーク
な土産物がたくさんあり、しかも大変お値打ち。買い物通≠フ団員の
中には夜遅くまで値段交渉をしていた人がいたとか、いなかったとか。
後刻上海の免税店でプライスカードを見て比べたら、2〜3倍のものがあ
ったとさ。

 雨に恵まれた?ものの、総じて快適・順調にきたアジア文化交流セン
ターの中国仏教史跡踏査の旅でしたが、ここへきて不安材料が惹起。と
いうのは、明朝の船便が台風の影響で欠航するかもしれないという情報
が入ってきたのです。台風の進路については日本出発の時から気になっ
ていました。上海、杭州のホテルではNHKのBS放送で詳しい情報が入った
のですが、以後中国のTVでは詳しい情報が報道されません。大ざっぱに
は台湾から福州あたりに進んだのではないかと推測しましたが、速度が
どれくらいか停滞しているのかどうかも分かりません。福州から普陀山
までは約500キロあるので、影響は大したことはなかろうと思っていた
のに。欠航か否かが判明するのは明朝午前6時半頃。もしダメならルート
を変更しなければならないので、モーニンングコールは5時15分。じゃ、
早く寝ましょ。

 2000年8月26日、朝6時。朝食時に、高速船は予定通り出航するとの情
報が入りホッ。高速船「舟鷹4号」はジェット推進でスピードを上げ、
普陀山をあとに寧波に向けてまっしぐら。途中かなり揺れ、キャビンの
上まで波をかぶりましたが約1時間で寧波に安着。ところが、迎えのバ
スがなかなか波止場へ来ません。ようやく来たバスは代替えバス。聞け
ば、豪雨に高潮も加わって、専用バスが洪水のため動きがとれなかった
とのこと。

  
           ▲高速船「舟鷹4号」

 寧波の市内観光では「天一閣」などを見学しましたが、普陀山巡拝と
いう目的を達成したあとということもあってか、何か気の抜けたビール
のような感じ。とにかく普陀山はよかった。寺々の伽藍や雰囲気はもち
ろん、島の風景も、素朴な人々の人情も、そして特産品も、ホテルも非
常によい印象を与えてくれました。雨に降られ、風に吹かれましたが、
心和やかで充実した観音聖地巡拝の旅でした。

 島を離れるとき、ガイドの陳さんが「雨風のため十分なご案内ができ
ず残念でした。また来てください。」とおっしゃいましたが、再度訪れ
たいと思ったのは私一人ではありますまい。アクセスの便も年々よくな
っているようで、上海からでも高速船に乗れば2時間で行けるようになり
ました。寧波からは、所要時間1時間の高速船が毎日十数便運行されてい
るとのこと。

 かくして、アジア文化交流センターの2000年度夏の研修旅行は、普陀
山巡拝の素晴らしい印象をエンディングとしてここに円成することがで
きました。団員各位のご協力と日通旅行社のご尽力に謝意を表し紀行を
結ぶこととします。                    合掌
               
          【. Written by S,HONDA】

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