■研修紀行 Ⅵ

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アジア文化交流センター05夏の研修──

 中国・雲南

  シャングリラ《中(ちゅうでん)》を訪ねて ⑩

チベット族の建築様式は「梯形」

碧塔海見学を終えて、アジア文化交流センター05夏の研修も終盤が近づいてきました。残す日程はチベット族村群風景見学と中甸古城探訪のみ。碧塔海からの帰途、まずはあるチベット族の村落にお立ち寄り。

チベット族伝統の建築様式は「梯形」。この様式の特徴は、端的に言えば「裾拡がり」。ラマ教の総本山ポタラ宮の建築物がその典型で、遠望写真を見るとその特徴がはっきり出ています。この村でもかなり立派な伝統様式の民家が散見されます。文字で説明するにはかなり厳しいものがありますがトライしてみましょう。

まずは切り妻造り二階建ての家を想像していただくとしましょう。両妻側に二階まで通しの大きな壁が立ちはだかります。壁の厚さは底辺で70㎝~80㎝、最上部で40㎝~50㎝。幅は建物の幅を若干オーバーしたかたちで、これも上すぼみのテーパー状。ちょうど将棋の駒を立てて天辺の三角部分をカットしたような形。

この両妻の壁の間に挟まれて木造の部屋が造られているという方式。家全体の大きさは、間口が16m~20m、奥行きは7m~8mはありましょうか。両妻の壁は白色で、そのほぼ中央二階部分あたりに100㎝×120㎝ほどの窓が設けられており、それが白壁のアクセント・ポイントになっています。窓枠は木造で彫刻と極彩色が入り交じって実に個性的なデザイン。

建物を全体的に見るとどっしりと重量感のある姿ですが、屋根がお粗末。勾配のある瓦葺きですが、素焼きの瓦で吹けば飛ぶよう。野地板も隙間だらけで、瓦の間から陽が透けて見えるところも。雨漏りが心配。

ある家の庭先に掘っ立て小屋を発見。庇がけだけで壁はなくオープン。土間には、懐かしや「へっつい」。そのへっついには直径70㎝~80㎝の大鍋が二つかかっていました。庭にトラックが置かれているところからみると、この家の家業は土建屋のよう。とすると、この大鍋は従業員の食事用かも。油で黒光りしている様子からすれば家畜用ではなかろう、と勝手な想像。

《次号へ続く/2006.3.18記》






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