■研修紀行 Ⅵ

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アジア文化交流センター05夏の研修──

 中国・雲南

  シャングリラ《中(ちゅうでん)》を訪ねて ⑪

●中甸古城の阿布旺堆老屋

昼食をすませて最後の見学地は「中甸古城」。昨年の研修で訪れたのは「麗江古城」と「大理古城」。「古城」というからには古いお城と思われるムキもおありかと思いますが、いずれも「古い街並み」のこと。いわば「老街」。

「中甸古城」も古い街並みが保存されているところ。ただ、麗江古城と比べると規模的にはかなり小型。内容的にも充実度がイマイチ。観光客誘致のためか、街のあちこちで老街再興中のようで、皮肉にも騒音と埃が遠慮なく観光客に降り注いでいました。

そうしたなか、古城入り口に近いところにある古民家に立ち寄りました。門先に老人が立っていて誘われて中へ入ったような記憶ですが定かではありません。2~3人の団員とともに屋敷内へ。と、その老人、言葉たくみにというよりは、所作たくみにと言った方がよろしいか誘導されて、気が付いたら二階のベランダ(もちろん木造)に上がっていました。

彼は目を輝かせて熱っぽく説明を始めました。隠された壁書きを、覆いを外して見せて「テン・シャオピン、テン・シャオピン(鄧小平)」と叫んだり、別の板壁についても説明したりしてくれましたが要領を得ません。こちらの質問も意に介せず。推測するに、どうも私たちを台湾人に間違えたらしい。

この老人から得た英文の資料によれば、この家の所在地は雲南省香格里拉県古城北門街66号。この古民家は「Abu Wandui old house」とのこと。彼の直筆漢字によれば「阿布旺堆老屋」。この家のオーナーMr. Abu Wandui=阿布旺堆氏はチベット人。漢名はSong Boliang。74歳。

二階の居間には仏壇(間)がありました。そのフレームには製作者Jiaoの記銘があり、そのことからこの家の起源は明代で、今から400年以上前であることを証明している、とその英文資料は結論づけています。


《次号へ続く/2006.3.18記》






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