研修紀行 Ⅷ

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アジア文化交流センター07夏の研修 ──

 
ヨーロッパに“アジア”を訪ねる旅 Part Ⅱ

  
ドレスデンで古伊万里と出会い、
        ポツダムを訪れて日本との接点を学ぶ
 

●重量オーバーに気をつけて

アジア文化交流センター2007年度夏の研修は、「ヨーロッパに“アジア”を訪ね旅 PartⅡ」。サブテーマは「ドレスデンで古伊万里と出会い、ポツダムを訪れて日本との接点を学ぶ」。企画は比較的早くまとまりましたが、団員の応募状況は足踏み状態。昨年は募集開始と同時に多数の応募があり、一時は定員30名をオーバーするほどでした。今年は申し込みがあったりキャンセルがあったりして、最終的には団員15名+添乗員で決着。

今夏は格別の猛暑でした。家の中にいて熱中症で亡くなった人も。さすがの猛暑も、お盆を過ぎ峠を越えたかなと思われる823日(木)午前8時半、中部国際空港3Fの国際線出発ロビーに総勢16名が集合。

まずはルフトハンザ・ドイツ航空のカウンターでスーツケースを預けてチェック・イン。問題はスーツケースの重さだ。近ごろは燃料費高騰のあおりか、航空会社のチェックが厳しい。自宅でヘルスメーターを使って計った時は、私のスーツケースが19.6㎏、妻のが18.9㎏。スーツケースをカウンターの計量器に載せる時、20㎏をオーバーしないかヒヤヒヤ。

なぜそんなに重くなったかといえば、犯人は「水」。それぞれのスーツケースにペット・ボトル入りの水が45本。ドイツではビールより水の方が価格が高いというし、飲み慣れた日本の水(軟水)があれば安心だという心理作用がはたらいたのでしょう。

そうそう、821日に開かれた地元の教育委員会会議の席でもそんなことが話題になりました。話の発端は、町内3中学校の3年生21名が817日に中部国際空港からホームステイ海外研修のためカナダ・バンクーバーへ出発した、との事務局からの報告。

東浦町から中学生海外派遣事業の委託を受けたエージェントが出発前の説明会で、機内に預ける荷物の重さは20㎏が制限だけれども2223㎏までは大目に見てくれるといったとか。耳を疑うような話ですが事実らしい。このところ重量制限が年々厳しくなってきているのを知らなかったのでしょうか。まさか…。

いずれにしても生徒たちは言われたとおりにして空港へ。さて、計量してみるとかなりの数の生徒が重量オーバーだったそうです。何がそんなに重いのかとスーツケースを開けてみたところ、水が入ったペット・ボトルがズラリ。最多は10本、重いはず。1リットル入りならば、水だけで10㎏を占めてしまいます。

飲み水の心配もあったでしょうが、もう一つ目的があったようです。それはホームステイ先の家族や現地の人たちとの親善交流のための「イヴェント」。私の家内から茶道を習っている生徒の場合は、茶道具とお抹茶を持っていって「お点前」をして抹茶を味わってもらおうという企画。それから日本のお米を持参してご飯を炊いて「ちらし寿司」を作って訪問先の人たちに振る舞おうという企画も。となると、やはり問題は水。日本のおいしい水が最適で不可欠ということになりましょう。

しかし、現実問題は重量オーバーをどうするか。オーバー分のペット・ボトルを機内持ち込みの手荷物の鞄に入れればよいのでは…という発想もおありかと思いますが、これがまたダメ。ご存じのようにアメリカの同時多発テロ事件以来セキュリティー・チェックが厳重になり、刃物類はもちろん液体も規制の対象に。

具体的な数量は忘れましたが、化粧水ほどのほんの少量の液体が許されるのみ。ただし、出国審査後に空港で買い求めた水、液体はOK。ニトログリセリンとか、液体の爆発物は透視でもチェックできないためでしょう。結局、重いものをスーツケースから手荷物の鞄に移すか、見送りの家族にペット・ボトルを持ち帰ってもらうしか解決方法はなかったようです。


 

●新旅券はICチップ入り

話が脱線してしまいましたが、こちらのスーツケースは辛うじて計量をパス。カウンター嬢がこちらを見てニヤッ。チッキ手続きを終えて次はセキュリティー・チェック。チェック・ブースが増えたためか、あるいはチェック・マンの能力が向上したのか、九十九折りの行列もかなりのスピードで進みます。

続いて出国審査。今回は新しいパスポート。前のパスポートの失効2日前に気がついて急遽申請。写真はデジカメでセルフ・タイマーを使って撮り、パソコンからプリント・アウトして作成。規格正寸で裁断して持っていったのですが、係官?は写真を手に透かしてみたり斜めにしてみたり。曰く「ここに細い線が入っていますね、髪の毛ほどの線が」。

眼鏡のシニアレンズ部分を使っていくら目を凝らしても、私の目には映りません。「よろしいですか?」と逆に聞かれ戸惑っていると、「じゃ、このまま受け付けましょう」と担当者。そういえば、前の女性も、「写真の顔の部分に黒いものがついているようですがこれでよろしいか?」としつこく訊かれていましたっけ。「外国で変な顔に思われるかも知れませんよ」などとも言っていました。

新しいパスポートにはICチップ入りと聞いていましたが、パスポートを受け取って見てもそれらしきものが見当たりません。説明によると、冊子のほぼ中央のページに入っているとのこと。このページは全体が0.5㎜ほどの厚さがありプラスチックの板状。そのプラスチック・ケース中の上方に小さなICチップが埋め込まれ、下方にアンテナ・コイルが封入されているとのこと。イミグレでは、パスポートをセンサーにかざすだけで顔写真をはじめ個人データが即座にディスプレイされる模様。旧旅券より処理が速いように感じられました。

出国審査を終え、単純構造で使い慣れた中部国際空港、迷うことなく搭乗スポットへ。知多半島に住む私たちにとって、セントレアができて非常に便利になりました。乗機ルフトハンザ・ドイツ航空LH737便フランクフルト行きは、午前1045分ほぼオン・タイムでテイク・オフ。

                                                        《次号に続く/2007.9.3 本田眞哉・記》




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